講演会「教育の三綱領とインターネットの活用」
~教育の理念を重視した、モチベーションを高める授業改善~
講師 松月弘恵先生(新32食・院33児童学専攻)
日本女子大学食物学科教授
出席者 60名
「食物学科の出身者が、なぜ動機づけを理論を学ぶのですか?」
今まで何度もこの質問に答えました。
しかし、動機づけなくして「教えられる授業から、考える授業への改善」は困難です。
私は現在、食物学科のフードサービスンの実習を、インターネットを活用して行っています。
しかし、その成功の秘訣は、理念として「教育の三綱領」の実践であり、
インターネットはその手段として活用しているにすぎません。
教育の理念と、動機づけ、そしてインターネットにの関連をその実践例から、
新たなアイディアが生まれるかもしれません。
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1.2016年度に着任して感じたこと
2016年度に着任して感じたことは、優秀な学生は多いが、管理栄養士として就職を考える学生は少なく、人生の選択肢の多さを感じた。初回の授業では給食経営管理領域に興味を示す学生が少なく、授業に手応えを感じなかった。そこで、給食経営管理論の教育目標を、大学が目標としている"Bloom as a leader"を参考にして、給食の経営管理であるマネジメントを修得することとした。「給食経営管理論・実習は面白い」を興味を示す学生を育成するために、本物に出会える機会、東京だから学べる機会を提案し、給食経営管理の学修のゴールをイメージさせることをが科目の目標とした。
2.私の担当科目について~給食経営管理論・実習・臨地実習~
1)給食経営管理とは
給食経理管理とは傷病者の回復・重症化の予防や健康増進を目的として、栄養管理した食事を提供することであるが、限られた資源の中での経営管理の他、食中毒の予防、アレルギーや災害対策としての危機管理も含まれる。さらに食育や共に食事を楽しく環境整備等、給食に求められる内容は幅広い。
2)3年前期に定員50人を2クラスに分けて、定められた栄養基準に従い1食450円予算で、大型の機器を使用して105~120食生産する。学生は5人で1チームで各役割に従い、献立作成、発注、食材管理、生産・サービスを評価の全てを実習する。この実習後に、臨地実習Iとして事業所や小学校での実習を行う。今回は2018年度の実習例を用いて説明する。
3.宮本美沙子先生の動機づけ理論に立ち返って
1)Atkinson の Expectancy - value model
2)「やり抜く」ための空間的イメージと、時間的イメージ
3)宮本美沙子先生の理論を参考にして、「給食経営管理領域」の教育を見直す
4.給食経営管理療育における教育の三綱領とインターネットの活用
1)教育の三綱領とマネジメントの関連~JALは何故再生したか~
2)給食経営管理と教育の三綱領との関連
3)授業へのLMS(Learning Management Sytem):manabaの活用
4)manaba使用の事例
5)manaba活用に関する授業評価
5.実物教育を目指す試み
1)管理栄養士を目指すための動機づけの試み
2)管理栄養士の魅力や価値をいかに伝えるか
3)着任3年間の教育業績自己評価
4)外部に誇れる教育の特徴は何か
5)まとめ
インターネットを活用した授業は有効である。しかしその成功は戦略としての教育の理念(教育の三綱領「信念徹底」「自発創生」「共同奉仕」)なくして成立するものではなく、manabaの活用は戦術の一つに過ぎない。
<松月弘恵先生プロフォール>
家政学部食物学科教授(担当:給食経営管理論)
家政学部食物学科食物学専攻新制32回生、大学院家政学研究科児童学専攻院33回生。
大学病院勤務等を経た後、宮本美沙子先生に師事し、修士論文は「重症例肥満児の減量への動機づけ」に取り組む。前任校神奈川工科大学時代から、LMS:manaba(クラウド型学習支援システム)を活用した授業改善を始めた。日本女子大学では2017年のmanaba導入時から講義・学習・学外実習に積極的に活用し、学生からの年間アクセス数は12万件を超えている。